1984 - 19864作目アルバム Heartbeat City リリース ~ ベンジャミン ソロデビュー
1984年
- 3月13日
- 5枚目のアルバム Heartbeat City ハートビート・シティ リリース
新たにロバート・ジョン"マット"ランジをプロデューサーに迎え、 これまでのアルバム制作よりはるかに長い8ヶ月を費やした。大体の楽器においてプログラミングが多様され、 スタジオで1日中作業して完成したのは曲の30秒程度、ということもザラだったそう。[1]
エリオット
僕達はロンドンで家を借りてて(レコーディングはイギリスで行われた)、憶えてるのはある朝ベンがベースの部分を録りに行った 時のことだ。ベンは朝の4時に戻ってきて、「今日はどのくらい進んだ?」と僕が聞いたらベンは「うん、いい感じの音をつかみ始めたよ。」 って言ったんだ。[2]
結果、当時のミュージックシーンにハマったポップサウンドと以前からのヒネリの効いたカーズらしさが融合した このアルバムは、シングル曲と共に大ヒットを記録した。
- 3月13日
- シングル You Might Think リリース
B面は Heartbeat City
リックが歌詞通りの「ストーカー男」をコミカルに演じるミュージックビデオはコンピューターグラフィックスを駆使した作品で、 当時としては破格の8万ドルが掛けられたという。ビルボードのシングルチャートで最高位7位を記録。
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- 5月7日
- シングル Magic リリース
B面は I Refuse, ビルボードのシングルチャートで最高位12位を記録。
- 5月12日
- 米NBCのテレビ番組 Saturday Night Live にmusical guestで出演(Season9 - Episode19)。"Magic", "Drive" をパフォーマンス。
その時のベンジャミンの写真がGetty Images にありました。
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- バンドは全米を廻るツアー Heartbeat City Tour をスタート。前座はイギリスのグループ Wang Chung などが務めた。
このツアーのうち9月にテキサス州ヒューストンで行われたライブがVHS、LDで公式リリースされました。
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- 7月23日
- シングル Drive リリース
B面は Stranger Eyes, ビルボードのシングルチャートで最高位3位を記録し、 カーズのシングルとしてはビルボードシングルチャート(Hot100)で最も上位に入ったシングル。
ベンがリードヴォーカルを取る、80年代を代表するバラードと言っても過言ではない名曲。 ミュージックビデオは俳優のティモシー・ハットンが監督を務め、後にリック・オケイセックと結婚するモデルの ポーリーナ・ポリツィコヴァが出演。
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- 7月
- エリオットがギターで参加(どの曲かは未確認)したPeter Wolfのアルバム Lights Out がリリース
レコーディングに Syncro Sounds を使用したようです。[3]
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- 9月14日
- 第1回目のMTV VIDEO MUSIC AWARD がニューヨーク Radio City Music Hall にて開催
カーズのミュージックビデオ "You Might Think" が 栄えある Video of the Year を受賞Video of the Yearの他のノミネート作品は
- Michael Jackson "Thriller",
- Herbie Hancock "Rockit",
- Cyndi Lauper "Girls Just Wanna Have Fun",
- The Police "Every Breath You Take"
メンバー全員が壇上に上がり、リックが短いスピーチを行いました。その時の様子が動画でアップされています。
The Cars の"You Might Think" は以下の部門にもノミネートされました。受賞はならず。 [4]
- Best Art Derection,
- Best Concept Video,
- Best Special Effects,
- Best Experimental Video,
- Viewer's Choice
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- 10月15日
- シングル Hello Again リリース
B面は Hello Again の Dub Version, ビルボードのシングルチャートで最高位20位を記録。
ミュージックビデオはポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホールが監督を務め、自身もバーテンダー役で出演。 ウォーホールのアヤシイお仲間も沢山共演する、アヤシイ雰囲気のビデオ。
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- バンド紹介とHeartbeat Cityツアー中のリック、グレッグ、デイヴィッドに短くインタビューしたテレビ映像が アップされています。
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- リック、イギリスのLloyd Cole and the Commotions のデビューアルバム Rattlesnakes ゲフィンからの アメリカリリースのリミックスを担当
1985年
- 1月7日
- シングル Why Can't I Have You リリース
B面は Breakaway, これはアルバム未収録曲。のち1995年リリースのアンソロジーに収録された。
- 2月26日
- 第27回グラミー賞がロスにて開催。カーズはアルバムHeartbeat City で
複数の部門にノミネートされるが受賞はナシ。
ノミネートされた5部門は以下の通り
- Best Engineered Recording,
- Best Video Album,
- Pop Vocal Group(Drive でノミネート),
- Rock Vocal Group,
- Producer Of The Year(Robert John Mutt Lange, The Cars)
ちなみにこの年のグラミー賞 Song of the Year は、ティナ・ターナーが歌う "What's Love Got to Do With It?" でした。 [5]
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- エリオット・イーストン 初のソロアルバム Change No Change リリース
日本国内盤は3月25日リリース
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- 7月13日
- LIVE AID ライブエイド開催。カーズはアメリカのステージ(フィラデルフィア・JFKスタジアム)で4曲を披露。
曲順
- You Might Think,
- Drive,
- Just What I Needed,
- Heartbeat City
4曲のうち "Just What I Needed" と"Heartbeat City" が2004年リリースのライブエイド公式DVDに収録されています。
- 9月12日
- 第2回のMTV VIDEO MUSIC AWARD がニューヨークにて開催。
"Drive" のビデオがBest Group Video にノミネート。受賞はならず。 [6]
- 10月14日
- アルバムGREATEST HITS からのシングル Tonight She Comes リリース
B面は Just What I Needed, ビルボードのシングルチャートで最高位7位を記録。
このシングルを仕上げるのに4週間ほど掛けており、エリオットはこの曲のソロについて 「とても濃密なソロになったのはそのせいだね。だって作るのに十分すぎる時間があったから。」と 語っています。[7]
このギターソロではギターメーカー Kramer のカスタムギターを使用しており、Kramer のエリオットモデルギターが 上野のハードロックカフェに展示されております。
- 10月18日
- ベストアルバム GREATEST HITS グレイテスト・ヒッツ リリース
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- ベンジャミン、クリーヴランドのミュージシャン達が集合したユニットThe C.A.R.E.Session によるチャリティーソング The Eyes of Childeren に参加。
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- エリオット、イエスのJon Anderson ソロ4作目 3 Ships にギターで参加。
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- リックがプロデュース、楽曲提供等したSuicideのアラン・ヴェガのソロアルバム Just a million dreams リリース
1986年
- 1月13日
- アルバムGreatest Hits からのシングル I'm Not The One リリース
1981年リリースアルバム SHAKE IT UP 収録のこの曲がリミックスし直され、 グレイテスト・ヒッツに収録、シングルカットされた。B面は Heartbeat City
- 5月20日
- マイアミで行われたMiss USAコンテストに、デイヴィッドが審査員として出演
この時Miss USAに選ばれたのはテキサス州代表の Christy Fichtner, その後のミス・ユニバースで 準優勝を果たすほどで、歴代ミスアメリカでもトップレベルのようです。
- 9月
- リック・オケイセック 2作目ソロアルバム THIS SIDE OF PARADISE リリース
一部楽曲にベンジャミン、エリオット、グレッグも参加
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- リックがPeter's Popshow(ドイツの音楽番組?)で"Emotion In Motion" を歌う(口パク)様子がYouTubeにあり
- 10月
- エリオットがギターでゲスト参加した Berlin のアルバム Count Three & Pray がリリース
どの曲で弾いているかは未確認
- 10月
- ベンジャミン・オール 初のソロアルバム THE LACE リリース
アルバムにはエリオットも参加。シングルカットの"Too Hot To Stop" のPVには グレッグとデイヴィッドも友情出演。
- 11月8日
- リック、ソロで米NBC のテレビ番組 Saturday Night Live に出演。
シングルカットした"Emotion in motion" と"Keep on laughing" をパフォーマンス。 さらに"Church Chat" というコントにも出演。
- 12月28日
- (日本)NHK総合の「ヤング・ミュージック・ショー」でThe Cars のライブが放送される
内容はビデオ販売された「The Cars Live 84-85」からの抜粋
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- 1986年あたり(多少前後するかも)に、エリオットはジュールズ・シアーと Reckless Sleepers という
グループを結成。
のち1988年にジュールズは4人組グループ Reckless Sleepers としてアルバム Big Boss Sounds を出すが、 その時エリオットは不参加。グループはアルバム1枚のみで解散。
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- この年にリリースされたイギー・ポップのライブアルバム Live in San Fran 1981 の中の、
ラストのスタジオレコーディング2曲のプロデュースをリックが担当。
曲は"Fire Engine"と "Warrior Tribe"
【脚注一覧】
- ▲1984年 3月レコーディングに関して
- The Cars 1995年リリースJUST WHAT I NEEDED:Anthology (Rhino/Elektra #73506) ライナーノーツ 17-18ページ(Brett Milano 寄稿)
- ▲1984年 3月エリオットのインタビュー
- The Cars 1995年リリースJUST WHAT I NEEDED:Anthology (Rhino/Elektra #73506) ライナーノーツ 18ページ(Brett Milano 寄稿)
- ▲1984年 7月Peter WolfのLights Out
- Peter Wolf-Lights Out at Discogs : Discogs
- ▲1984年 9月VMAの受賞とノミネート
- 1984 MTV Video Music Awards : metrolyrics
- ▲1985年 2月第27回グラミー賞の内容
- 1985 Grammy Awards: metrolyrics
- ▲1985年 9月VMAのノミネート
- 1985 MTV Video Music Awards : metrolyrics
- ▲1985年 エリオットのギターソロ
- The Cars 1995年リリースJUST WHAT I NEEDED:Anthology (Rhino/Elektra #73506) ライナーノーツ 20ページ(Brett Milano 寄稿)
- ▲1986年 12月スタジオ売却ニュース
- "Studio Owned,Operated By The Cars, Syncro Sound Shuts Doors" : Billboard - Dec.27.1986(VOLUME98 NO.52) 71ページ
- 該当するビルボード誌がgoogle.booksにてアップされています
Billboard - Dec.27.1986(VOLUME98 NO.52) 71ページ : google.books
- ▲1986年 Mendelson兄弟について
- Maybe the Good Guy's Gonna Win-Andy Mendelson : AllMusic
- Richard Mendelson : Music Production & Engineering at Berklee
- アルバム・シングルのリリース日程
- 日付に関しては、The Cars 1995年リリースJUST WHAT I NEEDED:Anthology (Rhino/Elektra #73506) ライナーノーツ記載のエレクトラ・データを参照。よってアメリカベースの日付。