CANDY-O―1979年

CANDY-O(1979) CANDY-O(1979)back cover
  1. Let's Go
  2. Since I Held You (邦題:いつまでも恋人)
  3. It's All I Can Do
  4. Double Life
  5. Shoo Be Doo
  6. Candy-O (邦題:キャンディ・オーに捧ぐ)
  7. Nightspots
  8. You Can't Hold On Too Long (邦題:燃えつきた恋)
  9. Lust For Kicks
  10. Got A Lot On My Head
  11. Dangerous Type (邦題:危険がいっぱい)
【プロデューサー】
ロイ・トーマス・ベイカー (Roy Thomas Baker)
【レーベル】
エレクトラ (Elektra/Asylum Records)
【レコーディング】
チェロキー・スタジオ(ロス)(Cherokee Recording Studio, LA)

2枚目のアルバム

カーズ、2枚目のアルバムです。邦題も健在。
1枚目から約1年後のリリースですが、収録曲のいくつかは1978年のライブで既にレパートリーに入っており、 1枚目のロングヒットを加味してリリースを遅らせたとも言われています。

そういう意味では1作目と割りと近い雰囲気ながら、もっとクールに、もっと飄々と、より洗練された仕上がりです。

独特なテンポ感

カーズの楽曲の良さは管理人的にはもう沢山ありすぎて、言葉にするのが難しいのですが(単に語彙が少ない説が有力)、 そのひとつに曲のテンポ感のユニークさもあるかなと思っています。

疾走するような曲、軽快な曲もあれば、2・4・9 のような聴いてるこっちの気が抜けちゃうような、 のんき風味なテンポとヌケ感をもった曲も繰り出してくる。そのテンポが纏う独特な空虚感、本気か冗談か迷わせるような斜めな存在感。 彼女が好きだの何だの歌っていても、どこか一線引いて冷めた目でも見ているような冷静さ。時に見せるヘタレ感。

そんな部分がこのアルバムでもさらに発揮されていて、聴く人を惹きつけるように思います。

ジャケットデザイン

楽曲同様輝かしい歴史を残したのは、このジャケットデザインですね。今回は無事、デイヴィッドによるコンセプトデザインです。

あまりにもセクシー、しかしクラッシーさも感じさせるこの女性のイラストは、40年代のEsquire誌、60年代のPlayboy誌で 名を馳せた稀代のピンナップ・アーティスト、アルベルト・ヴァルガス(Alberto Vargas)がこのジャケットの為に描いたものです。

ヴァルガスは当時83歳(!)。すでに引退して気に入った仕事だけちょろっとしていたヴァルガスに、デイヴィッドが依頼して (カーズのファンだったヴァルガスの姪の説得が効いたらしいです)実現したものです。

ヴァルガス作品は今やネットで検索すればあれこれ拝見できますが、フェラーリのボンネットに横たわるこの構図、 身体の角度、レオタードの絶妙な透け具合、クルマのボディをきっちり描かないバランス等々、 多くのヴァルガス作品の中でも1,2を争う良さだと管理人は思うんですがどうでしょう。完全にデイヴィッドへの贔屓目ですかね。

でもヴァルガスを選んだ彼はさすがですね。ピンナップアートの収集をしているだけあります。 あまりに下品すぎても、キャピキャピに若い感じでもダメなんですよ。カーズはクールで大人なバンドなのでね。 (そうでもなかった事が、後のUNLOCKED のDVDで垣間見えますけれども)

ちなみにアルバムタイトルでもあるCandy-O は作詞者リックによると実在してはいないそうですが、 このジャケットデザインの撮影のためにデイヴィッドが連れてきたモデルが、女優もしていたキャンディ・ムーアだったことは、 全くの偶然らしいです。


■参考資料■

  • アルバム CANDY-O(WPCR-14383)ライナーノーツ(矢口清治 寄稿)
inserted by FC2 system